大型スーパーやショッピングモールなどで、ウォーターサーバーを販売している人をよく見かけませんか?
テレビCMなどで目にする機会も多く、その人気がうかがえます。
しかも、「サーバーのレンタル代無料!」「1ヶ月無料お試しOK!」など、オトクなキャンペーンを実施しているメーカーが多い印象です。
とちょっと気になりますよね。
そこで今回は、ウォーターサーバーのビジネスモデルについて、徹底的に調べてみました。
人気の秘密やメーカー側の裏事情に注目してみると、意外な事実が浮き彫りになったのです。
果たして、ウォーターサーバー事業の今後の展望はどうなのでしょうか?
気になる疑問をクリアにしながら、市場拡大へと導いたビジネスモデルの全容をチェックしていきましょう!
もくじ
ウォーターサーバー市場は右肩上がり
1980年代に、突如としてアメリカからやってきたウォーターサーバー。
当初はサーバーのレンタル代やボトル代が非常に高価で、一部のリッチな客層にしか支持されていませんでした。
しかし、水とお湯の切り替えができる便利な点が注目され、徐々に企業や病院などで導入されるようになります。
そして2008年頃から、価格がよりリーズナブルになったことをきっかけに、家庭での普及も進んでいきました。
では、具体的にどのように普及率が伸びてきているのでしょうか?
ウォーターサーバー市場における顧客数と売上高の推移を見てみましょう。
顧客数 | 売上高 | |
2007年 | 670,000人 | 280億円 |
2011年 | 2,490,000人 | 910億円 |
2016年 | 3,700,000人 | 1,430億円 |
※参考:日本宅配水&サーバー協会(宅配水業界統計資料)より
こちらのデータは、日本宅配水&サーバー協会によって発表されたものです。
2007年から2011年までの4年間で、顧客数と売上高はともに4倍近くにまで大きな成長を遂げています。
そしてその後も着々とシェアを広げていき、2016年の売上高はおよそ1,430億円と、業績はまさに右肩上がりです。
そもそもウォーターサーバーとは?
こうして顧客数も売上高も、増加の一途をたどっているウォーターサーバーですが、需要が伸びている理由はいったい何でしょうか。
その秘密を紐解く前に、そもそもウォーターサーバーとはどのようなサービスなのか、肝心な基礎知識について押さえておきましょう。
ウォーターサーバーのサービス内容
ウォーターサーバーとは、サーバーと呼ばれる本体にミネラルウォーターなどの水が入ったボトルをセットし、レバーを押すだけで冷水と温水を利用できる便利な機器です。
ウォーターサーバーのメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 好きなときに冷水と温水を使える
- 安全で美味しい水を飲める
- 重たい買い物の手間が省ける
やはり、冷水のみならず温水がワンタッチで出てくるというのはうれしい魅力です。
と思い立ったら、通常はヤカンやポットでお湯を沸かさなければならず、沸かす手間や時間がかかります。
しかし、ウォーターサーバーがあればボタンを押すだけでお湯が出てくるため、とても快適にお湯を使うことができるのです。
安全で美味しい水を飲めるという点も、注目したいポイントです。メーカーによって取り扱っている水の種類が異なるため、比較しながら好みの水を選べる楽しさもあります。
また、普段スーパーでペットボトル入りの水を購入している方にとって、持ち運びの手間が省けるメリットは大きいでしょう。
ウォーターサーバーにセットするウォーターボトルは、自宅の玄関まで届けてもらえます。
注文もネット上ででき、わずらわしさなく利用できるサービスです。
ウォーターサーバーの料金相場
ウォーターサーバーを利用するには、いろいろな料金が発生します。
もちろんメーカーによって料金は千差万別ですが、ここでは一般的な項目ごとの相場をチェックしておきましょう。
見るべき項目は、以下の5つです。
- サーバーのレンタル料
- ボトル代(水代)
- 配送代
- メンテナンス代
- 電気代
では順に確認していきましょう!
1:サーバーのレンタル代
ウォーターサーバーは購入することもできますが、レンタルが主流です。
無料で貸し出しのメーカーが多いですが、なかには月500円~1500円程度のレンタル料がかかるところもあります。
その場合、ボトル代が安かったり、メンテナンスが無料だったり、なんらかの特典があるケースがほとんどです。
2:ボトル代(水代)
ボトルはどのメーカーも有料で、12リットルで1,000円弱というとこともあれば、2,000円程度のところもあります。
水に含まれる成分の違いによって価格に差が出ており、高いほど質が優れているのが一般的です。
ちなみに、1ヶ月に消費する水の量の目安は以下の通りです。
1人暮らし | 24リットル程度 |
2人暮らし | 24~36リットル程度 |
4人家族 | 24~48リットル程度 |
メーカーによっては「月に〇本以上はマスト」というように、ボトル本数のノルマを設定しているところもあります。
毎月一定数を注文していれば問題ありませんが、ボトル注文に関してどんなルールがあるのか事前にしっかり確認しておくと安心です。
この点については、後半で詳細を紹介します。
3:配送料
配送料は無料のところがほとんどですが、「注文本数が〇本以下の場合は有料」としているメーカーもあります。
また、北海道や沖縄、離島などへは毎回送料がかかるケースもあるため、あらかじめチェックしておきましょう。
4:メンテナンス代
メンテナンス代は有料のところが多いですが、月々サーバーレンタル代がかかっているメーカーのなかには無料のところもあります。
有料の場合も、メンテナンス代として年間で3,000円~5,000円程度徴収しているところ、メンテナンスが発生したときに都度料金がかかるところなど、メーカーによってシステムが異なります。
5:電気代
ウォーターサーバーは電化製品なので、毎月電気代がかかります。
これもメーカーによって異なりますが、相場としては月500円~1,500円程度です。
最近は省エネタイプのサーバーが増えてきていて、以前に比べると電気代は安くなりつつあります。
なるべくランニングコストを抑えたい方は、省エネタイプを選ぶとよいでしょう。
ウォーターサーバーの利用者が増えている理由は?
ここまで紹介したことを見てみると、ウォーターサーバーを利用するには月々まとまったコストがかかることがわかります。
年間で見ると決して安くはない金額ですが、なぜ年々利用者が増えているのでしょうか?
調べてみると、納得の理由が5つほどありました。
順に解説していきます。
1:震災の影響
ひとつの大きな要因といえるのが、2011年に発生した東日本大震災です。
このとき水道水の使用が制限されたり、放射性物質による汚染の恐れがあったりなどが原因で、スーパーなどから一気に水のペットボトルがなくなりました。
これをきっかけとして「水の備蓄」に対する意識が高まり、いつでも安全な水が飲めるウォーターサーバーの利用に注目が集まったのです。
と心配になりますよね。
確かに、電気がストップすると冷水や温水の機能は使えなくなりますが、ボトルから水を出すことは可能です。
しかも、毎月一定量のボトルをストックしているため、わざわざ買い占めに行く必要はありません。
ウォーターサーバーがあれば、もしものときの大きな助けになるでしょう。
2:安全な水への需要が高い
一昔前までは、誰もが水道水を普通に飲んでいる時代でした。
しかし最近は、飲み水に水道水を使っている方が少なくなってきています。
それは、昨今の健康ブームによって健康への意識が高まったことが大きな理由です。
日本の水道水は世界一安全といわれているものの、浄水場では取り切れなかった有害物質や残留塩素、さらには家庭に届くまでの間で混入されたカビやサビなど、目に見えないたくさんの不純物が含まれています。
水道水の安全性については、以下の記事で紹介されていますので、気になる方はサッと確認してみましょう!

その情報が世間に認知されると、またたく間に「安全な水」への関心が高まりました。
ウォーターサーバーの水は安全であるだけでなく美味しさにもこだわっていて、利用する側は好みの水を扱うメーカーを選ぶことができます。
そのメリットにより、ウォーターサーバーは注目を浴びるようになったのです。
3:赤ちゃんのいる家庭へのメリットが大きい
ウォーターサーバーが特に重宝するのが、赤ちゃんのいる家庭です。
ミルク作りには毎回お湯を使うので、ワンタッチでお湯を出せるウォーターサーバーがあれば、すぐにミルクを作って飲ませてあげることができます。
逆にウォーターサーバーがないと、おなかがすいて泣いている赤ちゃんに待ってもらってお湯を沸かさなければならず、ママの負担がとても大きいです。
ミルク作りだけでなく離乳食にも安全な水を活用できるため、小さいお子さんのいる家庭は大変重宝するでしょう。
4:ペットボトルよりも安くて便利
月々まとまった金額のかかるウォーターサーバーですが、実はペットボトルよりも安く済むことをご存知ですか?
もちろんボトル代にもよりますが、リーズナブルなメーカーを利用した場合、500mlの水を50円ほどで飲める計算になります。
市販の500mlのペットボトルが100円程度ですから、ウォーターサーバーを利用すればおよそ半分の値段で済むということです。
また、ペットボトルは重たくて持ち帰りに一苦労ですが、ウォーターサーバーはそういった手間をかけずに利用できます。
ペットボトルと比較すると、コスパが高いのは一目瞭然ですね。
5:デザイン性が魅力
最近はデザインにこだわったオシャレなタイプが続々と登場し、インテリア感覚でウォーターサーバーを設置する方が増えてきています。
カラーのバリエーションも豊富で、なかには木目調やアンティーク調といったタイプも。
お部屋の雰囲気に合わせて選ぶことができるため、コーディネートの楽しみがある点も支持されている大きな理由です。
オシャレなウォーターサーバーといえば、以下の記事で紹介されているものが、それにあたります。
どういったものがあるのかを確認するのに、お役立てください。

ウォーターサーバーのビジネスモデルとは
ウォーターサーバーが人気の理由を踏まえた上で、どんなビジネスモデルでサービスが展開されているのかというところに注目してみましょう。
一番は、「個人で購入すると高価であるウォーターサーバーを気軽にレンタルできる」というメリットを全面的に押し出し、月々見込めるボトル代で利益を得るというものです。
もちろんメーカーは「水」自体にこだわって、その水が持つ身体へのメリットを発信している部分もあります。
ただしメインとなっているのは、
- 店頭で水を購入した際の運搬
- ゴミ捨てといったわずらわしさから解放される
という付加価値をつけることで、利用者の購入願望を刺激し、利益につなげるというビジネスモデルです。
利益が出るカラクリについて
それでは具体的に、メーカーはどのようにして売上を伸ばしているのでしょうか?
利益が出るカラクリを、4つほど見ていきましょう。
1:毎月安定的な消費が見込める
水は生活になくてはならない存在なので、レンタル契約をした利用者は、毎月一定量のボトルを購入します。
これがジュースとなると安定的な需要を見込むことは難しいですが、その点水は消費量にブレがありません。
そのため、既存の会員だけでも安定的な収入を見込むことができます。
2:口コミで会員が増える
ウォーターサーバーは、実際に使ってみるとその良さを実感でき、
という声をよく聞きます。
その満足の声が口コミで広がり、会員がどんどん増えているというのが現状です。
最近のSNS人気によって口コミの持つ効力は非常に大きく、それがウォーターサーバー市場の伸びを大きく支えていると言えます。
3:解約率が低い
現状では、ウォーターサーバーの解約率はおよそ1.5%とかなり低い水準です。
その数字を見ても、会員の満足度が非常に高いことがわかります。
一度使い始めたら長く利用するケースが多いことも、安定的な売上確保に繋がっているのです。
4:既存の配達網を活用
ウォーターサーバー事業者のなかには、親会社がすでに配達網を持っていて、それを活用することで新規開拓コストの削減に成功しているケースがあります。
たとえば業界大手の「クリクラ」を運営する株式会社ナックは、本業のダスキン事業で培ってきた顧客や配達網をそのまま活かして,、ウォーターサーバー事業に参入し成功を遂げました。
また「アクアクララ」の親会社であるACレモン株式会社は、LPガスの提供・販売を行っており、そこで確立されている顧客や配送の基盤をもとにウォーターサーバー事業を軌道に乗せています。
このように既存の配達網を活かした事業展開を行うことで、イニシャルコストはもちろん、日々のランニングコストも低減しているのです。
顧客を増やして売上を伸ばす努力の裏には、こうしたコスト削減の努力もあることがわかります。
利用者もメーカーも「使えば使うほどオトク」?
ウォーターサーバー事業者側からの視点では、やはり新規開拓にも限度があることから、既存会員がどれだけ長く利用してくれるかが大きな鍵となります。
サーバーレンタルという形式上どうしてもサーバー原価の負担はメーカーにあるので、もしも新規会員がすぐに利用をやめてしまうと、原価のもとを取ることができません。
つまり、利用者が長く使えば使うほど、メーカーにとってオトクということになります。
実は利用者にとっても、長く使う方がオトクです。
メーカーによっては長期割引サービスがあり、規定の以上使うとボトル代やレンタル代が割安になる特典を受けられる場合があります。
悪質手法に騙されないために!ウォーターサーバーの選び方に注意しよう
ここまでで、ウォーターサーバーについて興味を持たれた方もいるのではないでしょうか。
ウォーターサーバーを選ぶ際は、天然水の種類が選ぶ際の主な項目となりますが、注目すべきポイントはもちろんそれだけではありません。
ここでは、納得できるウォーターサーバーを選び抜くための注目ポイントと、悪質手法を紹介しておきます。
注目ポイントは4つです。では早速みていきましょう!
1:メンテナンス
まず注目すべきは、長期間に渡って利用していくことも踏まえ、サーバーのメンテナンスはしっかりとしているのかを確認するようにしてください。
たとえばメンテナンスには、
- 専門スタッフによる訪問メンテナンス
- サーバーをクリーン済のものと交換
- 自動クリーニング機能搭載のため有人メンテナンス不要
などがあります。
メンテナンス料金は、先述した通りサーバーレンタル料金に含まれていることもあれば、別途で数千円が必要となるケースもあります。
また自動クリーニング機能が搭載されているタイプは、有人メンテナンスが不要なことが多く、毎日安心して利用できるメリットがあるでしょう。
サーバーは、掃除のしにくい内部ほど汚れてしまうものです。
そのため、自動クリーニング機能か最低限のメンテナンスサービスが付帯しているウォーターサーバーを選ぶようにしてください。
2:注文ノルマ
次に確認すべきは、月々の注文ノルマについてです。
この水ボトルの注文ノルマは、「月に〇本以上の注文が必須」や「定期配送で1回あたり〇本から配送」など、最低注文本数が決められていることが大半となります。
そのため、水ボトル1本あたりの料金が安かったとしても、注文ノルマの本数によっては高くつくこともあるのです。
ただし、大体のケースでは、1配送あたり2本からとしていることがほとんどでしょう。
その程度であれば、ひと月で十分消費しきってしまうので、余るということもなさそうですね。
3:コスト面
まず気にすべきは、コスト面です。
ここでいうコスト面は、ウォーターサーバーを利用するにあたりかかる、トータル費用のことをいいます。
たとえば、
といった理由で選んでしまうと、後に「こんなはずではなかった・・・」といった事態になりかねません。
ウォーターサーバーを比較する際は、以下に挙げる項目のトータル費用から選ぶようにしましょう。
- サーバーレンタル料
- 注文ノルマを考慮した水代
- 配送料
- メンテナンス代
- 電気代
- その他手数料やオプション料
この内、「1・3・4」番については、無料であることも多いです。
どちらにせよ、コスト重視で選択するのなら、月々に支払う料金の総額は計算しておくべきでしょう。
4:契約期間の縛り
最も注意したいのが、この契約期間の縛りです。
これは携帯電話の契約と同様に、最低契約年数が決まっており、その年数を迎える前に解約することで違約金が発生するものとなります。
ウォーターサーバーの契約期間の縛りは、大体1~2年であることが多く、解約違約金については1万円前後が一般的です。
もちろん、ウォーターサーバーの中には、縛りの期間が少ないものもあります。
もし、気になるウォーターサーバーが無料お試しを実施しているのなら、そうしたキャンペーンは上手く活用するようにしましょう!
そのあとで納得したら、本申込みをすればいいのです。
ここでは、念のため、無料お試しを実施しているウォーターサーバーについて紹介されている記事を載せておきます。
サッとでも目を通してみましょう。

また数あるウォーターサーバーの総合ランキングは、以下の記事で確認できます。
こちらも失敗しないために、併せて確認しておきましょう!

悪質な営業マンに注意
ショッピングモールなどの店頭で、ウォーターサーバーを紹介している光景をたまに目にする方もいるのではないでしょうか?
実はごく稀にですが、この店頭接客で、悪質な営業マンの落とし穴にはまってしまう方もしばしば。
そんなトラブルの一例を見ていきましょう。
まずひとつ目は、くじ引きに当選した景品がウォーターサーバーになっていて、無料のため喜んでいたら後日水代の請求書が届くというものです。
契約内容の説明を十分にせずに、考える隙を与えないのはトラブルのもとになります。
また、口頭で月々の水代や違約金などの情報に嘘が混じっている場合も。
契約の際は、契約書をしっかり読み、納得のいくウォーターサーバーを選びましょう。
一番は、インターネットから申込むのが、受け取る情報にズレがないため安心となります。
この点について気になる方は、以下の記事も参考にしてみましょう!

ウォーターサーバーのさらなる市場拡大に期待
利用者とメーカーそれぞれにうれしい価値があり、普及の一途をたどっているウォーターサーバー。
そのビジネスモデルはシンプルですが、
- 我が国は災害大国であること
- 共働きの家庭が増えて時短が求められること
- 健康志向によって安全な水への関心が高まっていること
など、さまざまな要素がウォーターサーバーの需要をぐんぐん高めています。
「一家に一台」という日が来るのも、そう遠くないかもしれません。
ウォーターサーバーが今後どのようにシェアを伸ばしていくのか、今後の展開に注目していきましょう。